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【ネタバレあり】映画「透明人間」考察・深堀りレビュー

更新日:

© 2020 Universal Pictures

 

先日、映画館で

 

「透明人間」

(原題 THE INVISIBLE MAN)

 

を見てきました。

なかなか見応えのある映画だっただけに、自分なりに考察した物をまとめさせて頂きます。

1つの解釈として、こちらの映画をご覧いただいた方には、映画を思い出すきっかにしていただければ!

 

見てない方は、ネタバレなしでこちらから紹介しています!

【ネタバレなし】「透明人間」紹介・レビュー

 

 

 


 

 

~ あらすじ ~

主人公のセシリア(エリザベス・モス)は、天才科学者で大金持ちの恋人、エイドリアン(オリバー・ジャクソン=コーエン)の束縛から逃れるために、彼の大きな自宅からの逃亡を試みる。

妹のエミリー(ハリエット・ダイアー)の手助けもあり、無事に彼から逃げることができたセシリアだったが、トラウマが大きく、しばらく屋外に出られない状態に陥っていた。

後日、彼女のもとに、エイドリアンが自殺したというニュースが飛び込む。さらに、彼の遺産である500万ドルの相続権がセシリアに与えられたという知らせも届いた。

彼から解放され、莫大な遺産も手にした彼女だったが、彼をよく知るセシリアは、エイドリアンが自殺するような人間ではないこと、自殺を偽装し、自分を連れ戻しにくるのではないかという疑念を抱えていた。

そんな中でも社会復帰に臨む彼女の周りで、奇妙な出来事が相次ぐ。

「誰かの視線を感じる、、、、」

彼女は一連の出来事から、エイドリアンが透明人間になり、自分を監視しているのではないかという疑念を抱くようになる。

しかし、セシリアの妹や、友人たちは、彼女に懐疑心を抱き、セシリアの正気を疑うようになってしまう。

果たして、エイドリアンは透明人間になり、彼女を監視しているのか、あるいは、彼女の妄想でしかないのか、、、、

次第に正気を保てなくなるセシリアの運命は、、、、

 

予告編

 


 

 

気になった考察POINT Pick UP !

 

セシリアは発狂してしまったのか?

 

出典: shutterstock

 

物語中盤から、終盤にかけて、セシリアは周りから、死んだはずの元恋人のトラウマにひきづられ、発狂してしまったと周りから解釈されます。

しかし、本当に発狂しているのか。

私はこの問いに関して

発狂している

と解釈せざるを得ません。

 

そもそも人が「発狂している」という定義は何なのか?

逆に、「狂っていない」と証明することはできるのか?

少なくとも、エイドリアンに執着する彼女の様子は狂っているとは言わざる追えないのではないか。

 

しかし、これは全てエイドリアンが計画したこと。

決して、彼女が執着しているのではなく、彼女にエイドリアンが「執着させている」と言えます。

そういう意味で、彼女は全くの被害者で、「狂わされた」という表現が正しいと感じます。

 

それでも彼女のエイドリアンへの固執は異常。

そして、本当の恐怖は、

誰しも、発狂し、異常になってしまうことがありうる

ということだと考えます。

そして、発狂してしまうかどうかは周りの判断でしかなく、異常視されてしまうと、一気に周りから信頼されず、孤立してしまう

ということです。

実際、見ている方誰しも、「本当は全てセシリアの妄想なのでは」と疑ってしまったのではないでしょうか。

そして、一度疑ってしまうと、見ているこちらも、セシリアの言動に懐疑心を持たざるを得なくなっていませんでしたか?

 

映画が終わり、改めてこの点を突き詰めて考えると、自身にも起こりうる恐怖として、肌にヒヤリと感じるのではないでしょうか?

 


 

 

エイドリアンは被害者なのか

出典: shutterstock

 

物語終盤、透明人間のマスクから出てきた正体はエイドリアンの兄、トムだった、、、

そこから物語は急展開を見せ、今までセシリアをストーカーしていたエイドリアンは自宅で監禁されているところを発見される。

そして一連の事件の黒幕はトムで、セシリアに渡ったエイドリアンの莫大な遺産を彼女から取り戻すため、事件を起こしたと、世間に公表された、、、

ここで物語のラストに向けて、一つの疑問が湧き上がる

 

「果たして、エイドリアンは本当に加害者だったのか、、、?」

 

確かに、よくよく見返してみれば、エイドリアンの描写は、冒頭のセシリアを追いかけ、妹のエミリーの車に殴りかかった描写しかないのです。

実は、あとはセシリアの証言からのみしかエイドリアンは語られていないのです。

この疑問の答えとしては、結論、明確ではない。

しかし、こう考えて見て欲しい。

 

実は、エイドリアンは正常で、本当の被害者だった。

狂っていたのは、セシリアで、彼女の思い込みでエイドリアンは殺されてしまった。

 

そんな、妄想のような考えを持って、ラストシーンまで追ってみると、物語は大きく解釈が変わってきます。

主人公であるセシリアが発狂し、エイドリアンを殺害、そして、狂ったセシリアによる、新たな「透明人間」としてのモンスターが誕生してしまう。

いわゆる、主人公が闇落ちして、さらにそのモンスターが今も成敗されることなく、社会に放たれてしまったと。

そうなると、物語は一気にバッドエンドとなり、身近に今も潜む恐怖として、自身の周りにまとわりつく気がしませんか?

 

1つの解釈としてでしかありませんが、この映画での、エイドリアンとセシリアの描き方では、エイドリアンの正体が明らかにされていない以上、そういった解釈もできます。

そして、そんな解釈をすることで、ある種のゾッとする恐怖も感じられるような展開になってるのではないかと考えさせられますね。

 


 

  

ラストシーンの恐怖

出典: shutterstock

 

そしてラスト、エイドリアンを、彼の作った透明スーツで殺害するセシリア。

同伴していたジェームズは、彼女の決断を知らず、騒ぎを聞いて慌ててエイドリアンの自宅に入ります。

そこでエイドリアンが首を斬られ死んでいるのを目の当たりにし、彼女に何があったのか問いただします。

それに対して、セシリアは

「エイドリアンは自殺した」

の一点張り。

そして、セシリアの荷物から見える「透明スーツ」を目にし、全てを察します。

しかし、察した上で

「確かに、エイドリアンは自殺した」

と彼女に納得します。

 

この瞬間、新たなモンスターが生まれたのです。

その存在にジェームズはどんな気持ちで彼女を肯定したのか、、、、?

彼女の考えに完全に納得したからか、彼女への同情からか、、?

あるいは彼女への恐怖からか、、?

 

ラストシーン、彼女が不適に笑いながらエイドリアンの自宅を立ち去るカット。

なんでもない、今までは被害者だったセシリアのシーンですが、ジェームズの感情と合わせ、彼女の存在を認識することでこれ以上にない恐怖を煽ってきます。

新たなモンスターの誕生に、思わず目を背けたくなる恐ろしいシーンですね。

 


 

 

この映画、透明人間が題材なだけに?、直接的な表現が少なく、随所にそんな考察ポイントが散りばめられ、各々の恐怖を煽る形なのが、ホラーとして身に詰まる恐怖を感じますよね。

みなさんも感想やご意見お聞かせください!

また、おすすめ映画などもあれば、ぜひ教えてくださいね。

ではでは!

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